第20章 三年前

「まあ……茜ちゃんじゃない?」

日向茜の姿を認めると、女はスプーンを置き、にこやかに立ち上がった。

「さあさあ、早く入って。外は風が強いから。沢宏もね、さっき『茜が帰ってくるかも』って言ってたのよ」

茜はその顔をじっと見つめ、氷みたいな声で言う。

「……誰?」

二階から降りてきた日向沢宏は、茜の態度を見た途端に眉間へ皺を刻んだ。

「林田おばさんに、なんて口の利き方だ」

林田おばさん――?

茜の頭の中で、張り詰めていた糸がぷつりと切れた。

「あなた……」茜は沢宏を見て、次いでその女へ視線を移す。「林田知代と、どういう関係?」

女の笑みが一瞬だけ引きつり、すぐに作り直される。...

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