第27章 初めまして、よろしくお願いします

個室の空気はすぐに温まった。

腹の探り合いもなければ、ビジネス特有のへつらいもない。ここにいるのは、ひたすら学問を掘り下げてきた人間たちだ。症例の話、研究テーマの話――それだけで、場は十分に回る。

耳元を行き交う聞き慣れた専門用語に、日向茜の胸も久しぶりに軽くなった。

「茜。今回戻ってきたけど、これからどうするつもりだ?」

工藤遠正が箸を置き、ふいに切り出した。

ざわめきがすっと引く。

先輩たちの視線が、一斉に茜へ集まった。

日向茜は正直に答える。

「まだ、具体的な方向は決めていません。三年も離れていたので……今の私は、入局したての新人と大差ないです。少しずつ、感覚を取り戻し...

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