第40章 一生恨むのも愛の一種

日向茜は聞こえないふりをした。

フロアランプの灯りが届くのは、ソファの前の小さな絨毯の一角だけ。真田修一は闇に沈み、見えるのは煙草の火が明滅する点と、こちらを射抜く目だけだった。

「こっち来い」

二度目。

日向茜は玄関に立ったまま、手をドアノブにかけている。

真田修一は煙草をくわえたまま立ち上がり、彼女の前まで来ると、見下ろして三秒。

次の瞬間、顎をつままれ、顔を引き寄せられる。

低く落ちてきた唇が、容赦なく重なった。

吐き切っていない煙を含んだまま、唇が歯列をこじ開け、濃い煙がそのまま口内へ流し込まれる。

喉が焼けたみたいにひりついた。ニコチンとタールの苦さが気管を落ち、...

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