第50章 死にたいなら、道連れにしてやる

日向茜は、灰のついたモコモコのスリッパを見つめたまま、視界がじわりと滲んでいく。

もうわかっていた。

林田知代は、薬なんて渡さない。

彼女がしたいのは、ただ――自分を辱めることだけだ。

「聞こえないの?」

日向茜が動かないのを見るや、林田知代は苛立った顔で足を上げ、彼女の顔を蹴りつけようとした。

――その瞬間。

今にも気を失いそうだった日向茜が、床に手をついて体を跳ね起こした。

「きゃっ!」

予想外の動きに林田知代は悲鳴を上げ、バランスを崩してのけぞる。

日向茜は息をつく隙すら与えない。

テーブルの上の湯飲みを掴み、そのまま林田知代の顔へ叩きつけるようにぶちまけた。

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