第53章 早くから計画されていた殺人

電話の向こうで、二秒ほど沈黙が落ちた。

「今は都合が悪い。あとで話す」真田修一が言う。

日向茜はスマホを握り締めた。心臓がやけに速い。

この男の仕事はいつだって終わらない。出張の予定表はいつだって真っ黒。

彼女が「確かな返事」を待って、いったい何度空振りした?

母はICUにいる。もう、待てない。

「真田修一、今どこで何してるの? 聞いて。特効薬のことなんだけど――」

「真田社長、お電話ですか?」

耳元へ、唐突に割り込んできた中年男の声。

日向茜の言葉が喉で止まる。

聞き間違えるはずがない。日向沢宏――実の父の声だ。

次の瞬間、ぷつりと無音になり、回線の切れたツーツー音が...

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