第6章 彼の恨みには由来がある

病室の闇は分厚く、窓の外のネオンさえ遮っていた。

日向茜は狭いベッドに横たわったまま目を開け、扉の下の隙間から差し込む冷たい光を見つめている。

廊下の足音が、たまに遠くから近づいては、ぱたぱたと急いで消えた。

茜は小さく息を吐く。

自分がしばらく眠れないことはわかっている。それでも先輩にこれ以上迷惑をかけるのは、さすがに申し訳なかった。

頭の中には、この二年の欠片が積もりに積もっている。どれも錆びた返しがついていて、少し触れただけで、ずるりと血が出る。

結婚前夜。真田修一は、研究室の外で彼女を待っていた。

深夜、ドアを押し開けた茜の視界の先――廊下の端の影に、彼が立っていた。

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