第61章 利用

フラッシュが焚かれる、その一秒前。

真田修一は床に転がる戸田己の襟首を逆手で掴み、休憩室の奥にある背の高いコートロッカーの裏へ叩き込んだ。

続けて、自分のオーダースーツのジャケットを引き剥がすように脱ぎ、日向茜の頭から容赦なく被せる。深い黒の布が、裂けた襟元も、乱れた髪も、紙みたいに白い頬も、すべてを押し隠した。

「カシャッ! カシャッ!」

記者たちは呆然と立ち尽くす八雲朱希を押しのけ、長玉のレンズを室内へ突き出して狂ったようにシャッターを切る。

閃光が連続し、薄暗い休憩室は一瞬で白昼みたいに照らし出された。

真田修一は流れのまま日向茜を胸元へ押し込め、長身の体であらゆる角度の覗...

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