第67章 残るか去るか

日向茜は、もう何も言わなかった。

佐伯峰がどう思おうが、知ったことではない。佐伯樹に胃がんのことを告げたのは、あれが最後の「傷口を開いて見せる」行為だった。目の前の屈強な男にまで、自分の行き止まりを繰り返し説明する気はない。

「……私、どうにもならないの」

日向茜の声はかすかで、疲労がにじんでいた。

「いろんなことが……あなたの思ってるほど単純じゃない」

それを聞いた佐伯峰の表情が、わずかに気まずく歪む。

彼は日向茜の青白い顔色を見て、次に彼女の腕の中でようやく落ち着いてきた子どもへ視線を移した。何か慰めの言葉を探しているようだったが、結局、喉の奥で飲み込んだ。

「どう思おうが...

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