第106章朝のルーチン

「エイサ……?」その言葉は祈りのように、畏(かしこ)まって唇からこぼれた。あまりにも長いあいだ〈獣め〉と呼ばれてきたせいで、別の名はどれも、どこか間違っているようにさえ聞こえる。母が慰めるように「デフニ」と呼んでくれたときでさえ、しっくりは来なかった。あれは本当の名ではない――そう感じていた。

けれど、この名は違う。これは、確かに正しい。もう一度、確かめるように口にする。「エイサ」

内なる狼も低く唸り、受け入れと喜びを示した。

だが、その喜びの余韻のすぐあとから、別の感情が胸の底でせり上がってきた。ダックスは言った――彼女を民として登録したのだと。もう奴隷の印は付いていないのだと。

奴...

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