第110章都の祭り

――ベア――

頭の中では、父の姿があまりにも鮮明で、汗の粒が肌を伝い、腕の毛に絡みつく感触まで思い出せるほどだった。母の腕にきつく抱きしめられていた圧も、いまなお肌に残っている。

理解できない感情が胸の内で暴れ、ベアは自分の腕を見下ろした。毛が現れては消え、皮膚の上をさざ波のように走っていく。顎が伸びようとするのがわかった。

『ベア? 出して。あたしたちを守らなきゃ!』

目の前で二重の視界がちらついた。幸せそうに笑い合う人々の塊と、顔をしかめ、露骨な蔑みを浮かべる別の人々の塊とを、視界が行ったり来たりする。

「ベア?」背後からダックスの低い声がした。

返事がないと、彼は乗り物を止め...

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