第119章真実をもたらす怒りの言葉

――ダックス――

赤しか見えなかった。視界の端が赤黒く沈み、他のすべてが深紅の膜で塗りつぶされていく。

――引き裂いてやる。――その思考は、ルノーとダックスが溶け合ったものだった。敏感な耳の奥でがなり立てるように響く。

彼は横っ飛びに扉へぶつかり、右肩に鋭い痛みが走った。脇腹にも波のように痛みが広がる。

――ずたずたにしてやる。――

再び部屋を見回してから、また扉に体当たりした。心臓が強く打ちすぎて、肉球の先で脈を一つひとつ感じるほどだった。

――あいつの目から命が抜けるのを見届けてやる。――

つがいの気配がすぐ傍にあるのはわかった。だが、今は彼女を見られない。今じゃない。地下牢...

ログインして続きを読む