第146章義務と雪

ミスタル――

一歩退きたい衝動が胸の奥でうごめいた。だが彼女は、過去から目を背けまいとした。

「アレックスが、あんたのために取っといたんだよ。いつかきっと戻ってくるって、あの人は分かってたんだ」ジーナが言った。

ジーナはそれをミスタルの頭からそっと掛けると、その重みは胸元にずしりと落ち着いた。

ミスタルはそれを持ち上げた。

子どものころ見たままの姿だった。ただ、いくぶん小さく感じられるだけで。楕円形のラブラドライトは、光を受けて青や緑の色彩を揺らめかせていた。それを囲む金の透かし細工が、ほかの色のそばでまたたく深い褐色と金色の斑をいっそう際立たせていた。

それは母のものだった。そし...

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