第156話赤ちゃんです

ヴィスカ――

足跡は西へ、西へと、凍りかけた雪の上を続いていた。ヴィスカは先頭を行き、視線を地面に落として、礼拝堂から離れる方向へ伸びる深い踏み跡を追った。道が低く窪むところで足跡はふたたびはっきり現れ、湿った泥に沈み込んでいる。雪には薄い茶色の血の筋がにじみ、祠への供え物などとは思えないほど生々しかった。

背後ではアナヒが外套の下に赤ん坊を抱えていた。赤ん坊はしきりに身じろぎし、そのたびにアナヒは腕の中へ引き寄せる。彼女は慎重に馬を進め、肩をすぼめて風を遮り、傷めた手は子どもの体の下に差し入れたまま動かさない。

「動いてばかり」

ヴィスカは馬を落として並び、彼女の横に寄った。「生きて...

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