第51話なんてやつ

――ダックス――

その建物に足を踏み入れたとき、彼は像の下に横たわるベアを見ることに気を取られすぎていて、周囲の破壊と荒廃が異様であることに思い至らなかった。

彼は執事へと向き直り、押し潰された長椅子や崩れた柱のあいだを進んでいくその姿を見つめた。色ガラスの窓は砕け散り、古い教会を飾っていた木細工もことごとく潰されていた。

執事の表情を見れば、これが決して普通のことではなく、彼の心を深く揺さぶっているのは明らかだった。彼は茫然としたまま前へ進み、通りすぎる壊れた欠片にそっと手を触れていった。

「執事?」

男ははっとして、急にダックスのほうを振り向いた。「申し訳ありません、殿下。私は…...

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