第84話レベッカの退屈

――レベッカ――

この宿に来て以来、まるで彼女につきまとっているかのように現れる無数の蝿のうちの一匹が腕にとまり、彼女はその不快な生き物をぴしゃりとはたき落とした。なぜなのかはわからない。だが、三週間ほど前から出るようになり、どうしても彼女を放っておかないのだ。

視界の端で何かが動き、彼女はまだ腕に潰れてこびりついている血まみれの虫から目を移した。そして視線の先には、この宿に足を踏み入れた初日に給仕をした、あの尻軽そうなちび女中がいた。今も酒場の広間を、まるで自分がこの世に現れた最高傑作ででもあるかのように、どたばたと歩き回っている。

レベッカはその女の方へ鼻で笑った。髪は男の子みたいに...

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