第97章欠員

――ダックス――

「殿下!」ギイは驚いたように声を上げ、すぐに頭を垂れて礼をした。

ダックスは、レベッカの屋敷であの件が片づいたあと、この年長の紳士をこちらへ寄こしていたことをすっかり忘れていた。見慣れた顔はひどく心を落ち着かせ、ダックスはほっと息を吐く。

彼はもう一度ベアと意識をつなぎ、身体の近さを名残惜しむように吸い込んでから、その回線を閉じた。自分が何を考えているのか、驚いていることも、彼女に悟られたくない。ギイは、彼が彼女の部屋の扉を開けたときの、ベアへの嬉しいサプライズであってほしかった。彼がそばにいてくれれば、ベアと離れているあいだのダックス自身の心も、いくらか楽になるはずだ...

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