第99話赤く染まった雪

――ベア――

「おっと! 忘れてた。お前、返事できないんだったな。悪い悪い」その声には、はっきりと嘲りが混じっていた。「毒を混ぜてたのはいつもママだったからさ、どれくらい入れりゃいいのか自信がなくてね」口の端がへの字に下がり、苛立ちが顔ににじむ。そこへ調教師がするりと寄り添った。

小柄な女の姿が視界に入った瞬間、ベアの胃がきゅっと縮み、心臓が早鐘を打った。内側の狼がむくりと目を覚まし、動き出そうとするのがわかる。けれど体は、なお一歩も動かせない。

調教師はアレックを見上げてから言った。「女主人さまがいつもやっていたとおり、きっちり。奴隷は目を覚ますけど、あと数時間は動けないはずよ」不機嫌...

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