第109章 誰が誰をパクった?

星野雅子にはこの作品の粗が見えていた。だが、ほかの人間には見えない。比べる対象がなければ、そこまで気づけるはずもない。

結局、この「虹彩の輝きを放つ宝石の杯」は3.4億で落札された。VLNには一歩及ばないとはいえ、今回の競売で売れた宝石の中では堂々の2番目の高値だ。

小林雪乃は――この一発で名を上げた。

「この値段なら、まあ及第点ね。安く済んだわ」

小林茉由は赤ワインをひと口含み、くすりと笑った。

「その言い方、ずいぶん詳しそうだな」

桐谷陸が面白がるように身を乗り出す。

競売が始まってから、桐谷陸は話し相手がいないのに耐えきれず、勝手に小林茉由のところへ来て見物していた。

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