第162章 同意しない

小林千代も小林多江も、小林グループが小林茉由の手に落ちるのだけは避けたかった。だが、いま会社を握っているのは小林邦彦だ。二人が無理やり邦彦に会社を差し出させる術などない。

小林邦彦は二人の視線に気づきもしない。スマホの音量は大きめで、受話口の向こうから弁護士が「株式」「譲渡」といった言葉を口にしているのが、小林千代と小林多江にもかろうじて聞き取れた。

それ以上聞き取る前に、邦彦はスマホを手に書斎へ上がっていく。

小林多江は顔を真っ黒にして吐き捨てた。

「弁護士が家にまで電話してくるなんて……あいつ、本気で小林グループを小林茉由っていうクズに渡す気だよ! 株があの女に行ったら、こっちは...

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