第190章 わざと挑発する

桐谷辰哉は今日という今日で、「魂が抜けた」とはこういう状態を言うのだと身をもって知った。小林茉由が訓練キャンプに入ってからというもの、社長の仕事の処理速度はほぼゼロ。もう二日も経つのに、書類が数枚すら片づいていない。

以前なら、こんなもの葉山墨也が一時間で終わらせていたはずだ。

恋愛は人をダメにする。つくづく。

もちろん、そんなことを社長に口が裂けても言えない。桐谷辰哉にできるのは、せいぜい慰めることくらいだった。

「さっき妹から連絡が来まして。小林さん、順応が早いみたいです。初日で評価も通ったって。今もみんなと一緒に訓練してるそうですよ。教官にも褒められたとか」

自分、今まるで幼...

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