第201章 勝った

吉川申也がまだ動く前に、小林茉由がすっと後ろへ身を引いた。男の一撃をかわした、その直後――彼女の姿がリング上からふっと掻き消える。

「っ……!?」

吉川申也が息をのむ。次の瞬間、小林茉由は彼の背後に回り込んでいた。肘が容赦なく背中へ叩き込まれる。

「ぐあっ!」

悲鳴とともに吉川申也が床へ崩れ落ち、小林茉由がそのまま上から押さえ込んだ。

佐藤梨絵はほっと息をつき、笑顔で声を張り上げる。

「茉由、やった!」

――誰も気づかなかった。観客席で、葉山墨也の指が木製テーブルの角を押さえつけ、くっきりと跡を残していたことに。

小林茉由は少し力が抜けた。胸の奥でそっと息を吐く。だが、その瞬...

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