第31章 葉山墨也、助けて

小林茉由が部屋を出た途端、入口に立っていた用心棒がすぐさま後ろについた。

「お手洗いに行くだけ。……それでもついてくるの?」

「扉の前でお待ちします」用心棒は無表情のまま言った。

「そう。じゃあね」

茉由はにこりと笑い、背を向けた瞬間――脇に置かれていた消火器をひっつかみ、用心棒の頭に叩きつけた。

「ぐあっ!」

先頭の男が悲鳴を上げる。周囲の連中が一斉に駆け寄ってきた。

「てめぇ、死にてぇのか!」

茉由は迷わず消火器のレバーを引いた。しゅうううっと白い噴霧が噴き出し、瞬く間に視界を奪う。

その隙に茉由は廊下へ飛び出した。気づいた用心棒たちが、怒号を上げながら追ってくる。

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