第35章 自分勝手

「服、ちゃんと着ろ」葉山墨也は露骨に不機嫌な顔をした。

小林茉由は呆れたように息を吐く。

「着てるけど。ドレス、どこが――」

言い切る前に、目の前の長身の男がすっと距離を詰めた。背中が壁に当たり、逃げ場がない。

「その格好、これ以上男を釣ってどうする」

――この馬鹿。

会場の視線がどれだけ彼女に集まり、好き勝手に値踏みしているかも分かっていない。

小林茉由は押し返そうとしたが、びくともしない。苛立ちを隠さず言い返す。

「葉山社長、ここはパーティーです。女はみんなドレスでしょう。背中も胸元ももっと開いてる人、いくらでもいるのに。なんで私だけ?」

そんなに世話を焼きたいなら、見...

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