第68章 今夜はぐっすり眠れる

「追い詰めすぎよ。あの子、怖がっちゃう」

石原友里は小林茉由との通話を切るなり、葉山墨也に電話をかけた。小林茉由がいま何を考えているのか――だいたいのところを、かいつまんで伝える。

「わかった」

葉山墨也は短く答えた。

本当は、自分でもわかっている。急かせば、彼女は逃げる。

それでも――小林茉由に近づきたい衝動だけは、どうにも抑えられなかった。

二人の子どもを寝かしつけたあと、彼は結局、小林茉由の部屋のドアをそっと開けた。

彼女はもう眠っている。

布団をかけすぎたのか、頬がほんのり赤い。さくらんぼみたいな唇が艶めいて、思わず噛みつきたくなるほどだった。

葉山墨也の呼吸が重く...

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