第70章 お金があれば好きに使える

「小林グループほどの大会社を、たかが小娘ひとりに丸投げするなんて、聞いて呆れるわ」

不機嫌そうな老人の声が、扉の向こうから響いた。

「母さん、どうしてここに……」

姿を認めた瞬間、小林邦彦は顔色を変えて駆け寄る。

小林千代と小林雪乃も、同時に表情を強張らせた。

小林多江――この人は昔から彼らを快く思っていない。とりわけ嫁である千代への当たりは強く、家業は男が継ぐものだという古い考えを頑なに曲げない。

「私が来なきゃ、あんたは小林雪乃に会社を全部渡すつもりだったじゃない!」

多江は吐き捨てるように言った。

「女の子に会社を任せてどうするの。いずれ嫁に行けば、小林グループまで一緒...

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