第75章 かわいい奥さんがお金を使って怒りを鎮める

「もう……やめて……」

小林茉由は堪えきれずに懇願した。なのに声は、子猫みたいに甘くて、余計に男を煽ってしまう。

当然のように、その「やめて」は免罪符にならなかった。

またひとしきり弄ばれて、最後には茉由、指一本動かすのも怖くなる。

――この男、ほんとに怖い。

最初から、ちょっかいなんて出さなきゃよかった……!

「今日は会社、休め」

葉山墨也が腰に腕を回してくる。

「うるさい!」

茉由は歯を食いしばり、邪魔な手を振りほどいた。床に足をつけた瞬間、膝ががくんと抜けて、前のめりに倒れそうになる。

葉山墨也が素早く引き寄せ、抱き戻した。

「今日は外に出るの、無理だろ」

「葉...

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