第82章 何も分からない

「まさか――墨也のコネで潜り込んだんじゃないの?」

小林雪乃はそう思い至ると、胸の奥がむず痒いほど得意になった。いまの自分は名の知れたデザイナー。小林茉由より、ずっと華やかで注目されている――そう信じて疑わない。

ふふ……

心の中で勝ち誇りながら、雪乃は茉由のほうへ歩み寄った。男に頼って招待を取り付けた、と言ってやりたかった。

「意外。茉由、あんたまで招待されるなんて。墨也が口利きしてくれたんでしょ?」

しかし茉由は、にこりと笑ってさらりと言う。

「ここ、何度も来てるけど、正直あんまり面白くないのよね。今日みたいに、あなたがいるのを見るのは初めてだけど」

一言で、雪乃の顔色がさ...

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