第21章

浴室の中で、鈴木夏美はタオルで髪を拭いていた。まだ完全に乾かし終わらないうちに、浴室のドアが突然開かれた。

鈴木夏美は不意の物音に驚き、音のする方向、ドアの方を見た。

高橋隆一の大きな手がドアノブに掛かっていた。上半身は裸で、引き締まった筋肉が空気にさらされ、見る者の想像を掻き立てる。

鈴木夏美はその光景を見て、なぜか後ろめたさを感じた。彼女は一歩後ずさりした。

「あなた...」

距離を取りながら、鈴木夏美は必死に視線をコントロールしようとした。

二人はこれまでずっと一緒に過ごし、子どもまでいるというのに。

たった一年余り会わなかっただけで、鈴木夏美は二人の間の雰囲気が妙によそ...

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