第324章 斎藤蓮の片思い

高橋隆一がその気になれば、逃げることなど不可能だ。

ましてや、お腹には子供がいる。彼にその弱味を握られている限り、自由など永遠に手に入らないだろう。

今となっては、自由うんぬんに拘泥したくはない。ただ、この二つの命を無事に産みたいだけだ。

私は隆一の言葉を気に留めることなく、リビングへと向かった。

テーブルの中央には一対の化粧箱が置かれている。蓋を開けると、そこには龍と鳳凰を象った玉(ぎょく)のペンダントが収められていた。

羊脂玉のような潤いのある白さ。一点の曇りもない和田玉(ホータンぎょく)だ。

私は二つを取り出し、掌に乗せてみる。

二つの玉の形状は完璧に噛み合うようになってい...

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