第369章 譲位

「この椅子に座って、安泰でいられる奴が他にいるとでも?」

高橋隆一は、発言した男を冷ややかな目で見やった。

「其の方にそれだけの能があるなら、手並みを拝見させてもらっても構わんが」

男の顔色は瞬時に土気色へと変わり、滅相もないとばかりに慌てて手を振った。

会社の大小株主は合わせて二十名余り。一人が怖気づいて口をつぐんだところで、残りの連中がこの件を見過ごすはずもなかった。

「世論はもう炎上騒ぎだ。会社がこれほどの悪評を背負わされたのは、全てあなたと高橋夫人のせいじゃないですか。会社の利益だけ享受して、リスクは負わないなんて理屈は通りませんよ」

「我々も何も、あなたを吊し上げようってわ...

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