第426章 死など恐れない

桜井蘭は一睡もせず、その表情には明らかな疲労の色が滲んでいた。

高橋隆一がやってくるのを目にしても、彼自身の体調を気遣う言葉はなく、開口一番に鈴木夏美の件が解決したかどうかを問い質す。

「どうなの。何か情報は掴めたの」

高橋隆一は、未だその腕に薔薇の花束を抱えたまま、小さく首を横に振った。

「ヴァイパーが抗癌剤の開発に成功したということまでは分かった。だが、今のところ連中との接触は不可能だ。出方を窺うしかない」

「希望があるだけマシね……。夏美さんの今の姿を見ていると、本当に胸が痛むわ」

桜井蘭はそう言って、瞳から涙を零した。

「あなたは私の息子だけど、これだけは言わせてもらうわよ。...

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