第43章

焦点を失った目で固く閉ざされたドアを見つめ、鈴木夏美の瞳に灯っていた希望が少しずつ消えていった。

どの時も、結末は同じ。このドアは決して開かれることはない。

前回、同じような状況で失ったのは子供。今度は彼女の命で償わなければならないのだろうか。

鈴木夏美は、この窒息感が嫌いだった。束縛される感覚がさらに嫌いだった。

ぼんやりとした意識の中で、彼女は病院のベッドで高橋隆一を問い詰めたことを思い出していた。

「私たちこそが合法的な夫婦なのに、どうして川に飛び込んで、助け上げたのは白石知子なの?」

彼の返答はいつもと変わらず冷淡だった。

「演技はやめろ。お前が泳げることは知っている」...

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