第62章

鈴木夏美は白石知子のような惨めな状態ではなく、さりげなく手を洗いに行って、ホールを出て、庭の中にあるブランコに座った。

彼女は昔ここで遊ぶのが大好きだった。引っ越してからも、唯一心残りだったのは自分でデザインしたこういった小物たちだった。

ブランコに座り、鈴木夏美が顔を上げると、ちょうど二階の窓辺に立つ子供が彼女の方を見ているのが目に入った。

高橋信也は彼女を見つけると、顔に笑みを浮かべた。残念ながらガラス越しだったため、彼はただ窓際で腕を振るだけだった。

高橋信也は丸くて白くてふくよかで、この年齢の子供の中では可愛らしい方だった。彼は純白のダウンジャケットを着て、全力で鈴木夏美の注...