第11章

相馬千冬は薄い唇を真一文字に引き結んでいた。

彼が一歩踏み出すと、その凍てつくようなプレッシャーがさらに距離を詰めてくる。

安井綺世は、露出した肌にまで突き刺さるような冷気を感じて身震いした。

「誰が終わらせていいと言った?」

喉の奥からその言葉を絞り出し、相馬千冬の瞳の底には安井綺世の姿が映り込んでいた。

彼女は五年前よりも遥かに艶やかだ。

まるで咲き誇る薔薇のように、千冬の胸中でくすぶる記憶を激しく燃え上がらせる。

何も言わずに去ったことを恨んでいるのか?

そんな考えが浮かんだ瞬間、綺世は滑稽さに思わず笑いそうになった。

彼女は唇の端を歪めて冷笑した。

「私と小林雪子...

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