第195章

小林雪子は、相馬千冬が自分の『委屈』をまるで相手にしないだなんて、夢にも思っていなかった。

しかも、事情を聞くことすらなく、無条件で安井綺世を信じたのだ。

挙げ句の果てには、自分に出ていけと言う。

雪子は涙を滲ませて首を振り、何とか取り繕おうとした。けれど相馬千冬は、彼女へ向けていたわずかな関心さえ引っ込めてしまう。助手にパソコンの修理を手配し、すぐさま綺世には新しい端末を回した。

「復旧したデータはすぐ送る。必要なものがあれば言え」

綺世は複雑な気持ちのまま、小さくうなずいて、それ以上は口を閉ざした。

信じてもらえることに慣れていない。胸の奥に、薄い皮肉めいたものまで浮かぶ。

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