第23章

安井綺世の脳裏に、いくつもの記憶が走馬灯のように駆け巡った。

幼い頃、相馬の祖父が大切にしていた骨董品の壺を割ってしまい、叱られるのが怖くてこっそり破片を捨てたこと。

結局、コレクションがないことはすぐに露見した。

その時、相馬千冬はまるで英雄のように、幼少期から変わらないあの無表情な顔で安井綺世の身代わりとなり、彼女の代わりに叱責を受けたのだ。

高校時代、安井綺世が不良グループに目をつけられ、無理やり「姉御」にされそうになった時のこと。

彼女は相馬家にこれ以上迷惑をかけたくない一心で、誰にも相談できずにいた。

その時もまた、相馬千冬だった。

たった一人で十人近くの不良を相手に...

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