第69章

小林雪子は何食わぬ顔で子供に近づくと、ひどく心配そうな素振りを見せた。

「容体は深刻なのですか? 先生はなんと? こんなに小さいのに……後遺症が残ったりしないでしょうか」

彼女は病床のすぐそばまで歩み寄っていたが、その探るような視線には悪意が潜んでいた。

隠しきれない失望が、その口調から滲み出る。

「見たところ大したことなさそうですね。大騒ぎするほどのことじゃありませんわ」

「黙れ!」

安井綺世は低い声で怒鳴ると、小林雪子を病床から引き剥がし、そのまま力の限り突き飛ばした。

小林雪子はたたらを踏み、無様に床へ倒れ込みそうになる。

彼女は驚きと怒りの入り混じった目で安井綺世を睨...

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