第87章

安井綺世は足早に出口へ向かいながら、不安に駆られて状況を確認していた。

病院からの電話だった。辻本修一が交通事故に遭ったという。

事故現場を聞かされた瞬間、彼女の胸は心配と罪悪感で押し潰されそうになった。

辻本修一は、彼女を送り届けた後の帰り道で事故に遭ったのだ。そこはもともと事故多発地帯として知られる場所だったが、もし彼がまっすぐ自宅に帰っていたなら、通る必要のないルートだった。

自分が送ってもらわなければ、辻本修一が事故に遭うこともなかったはずだ。安井綺世は急いで病院へ向かった。その場に、顔色を曇らせた相馬千冬を一人残して。

安井綺世が辻本修一のために自分を置き去りにしたのを目...

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