第99章

それまで和やかだったレストランの空気が、一瞬にして凍りついた。

相馬千冬は眉を寄せ、安井綺世を問い詰めた。

「子供たちを連れてどこへ行くつもりだ? また何をする気だ」

彼の脳裏に、安井綺世が子供を連れて姿を消し、五年もの間音信不通だった記憶がフラッシュバックする。彼は血相を変えて安井綺世の手首を掴んだ。その声には、言いようのない焦燥と憤りが滲んでいる。

「また黙って消えるつもりか? なぜだ。相馬家のどこが不満なんだ。いい加減、そんな子供じみた真似はやめてくれ」

安井綺世は最初きょとんとしていたが、ようやく状況を飲み込んだ。

彼は、自分がまた子供たちを連れて逃げるのだと誤解している...

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