第233章 盗人が「盗人を捕まえろ」と叫ぶようなものだ

「証拠が必要なら、いいわ、見せてあげる」平川希の声はひどく冷たく、聞く者に得体の知れない畏怖を抱かせた。

谷口直美の呼吸が荒くなり始めたが、無理やり自分を落ち着かせようとした。彼女が証拠を持っているなど、信じられるはずがない。

平川希は歩み寄ってスマートフォンを手に取ると、その内容を大画面に投影した。チャットの履歴だ。平川希が吉本院長に送ったものである。

谷口直美の顔がこわばる。

平川希はちらりと彼女に目をやり、淡々と言った。「この二つのファイルは、昨日私が吉本院長に送ったものよ」平川希は手にした二つの書類を掲げた。「あなたが今日提出したものと同じ。違うのは、私が吉本院長に送ったもの...

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