第320章 風が吹かないと波が立たない

出かけるとなれば、平川希は当然凌太と由佳を置いていくわけにはいかない。四人で家族写真を撮るのも悪くないだろう。

支度を終え、高原賢治は平川希と凌太、由佳を連れて出発した。まずはウェディングドレス選びからだ。

高原賢治が自らハンドルを握り、車が別荘の門を出た途端、高原浩文の秘書である中尾明が慌てて車を降り、駆け寄ってきた。

「若様」

車の窓が少し下ろされ、高原賢治は彼をちらりと一瞥する。

「何か用か?」

「若様、若奥様、会長がお呼びです」と中尾は言った。

高原賢治は冷たい眼差しを細めた。

「時間がない」

「しかし若様、この件は会社と若奥様に関わることで……」中尾の声が途切れた...

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