第430章 顔面ビンタ(2)

山本玲也は目を細めた。まるで、この女に会場の空気ごと掌握されている――そんな感覚。

嫌な予感が胸を刺す。もし本当に、何か証拠を握られていたら。

……いや、あり得ない。証拠なんて、どこから出てくる。根回しは全部済ませたはずだ。

山本静香は震える視線を山本玲也へ向けた。瞳に渦巻く感情は多すぎる。恐怖、怒り、怨恨……。

「万全」なんて言葉が、どれほど空虚だったか。平川希が突きつける証拠は、一つ、また一つと積み上がっていく。万全なんて、どこにもない。

――これは、完全に詰んでいる。

山本玲也は奥歯を噛みしめ、静香を睨みつけた。軽率な真似をするな、と目で釘を刺す。平川希に証拠などない、と。...

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