第57章 凌太と由佳は高原賢治に連れ去られた

「わからない」由佳は唇を尖らせ、アルバムを元の場所に戻した。

「でも、もしそうじゃなかったら、クソオヤジはどうしてママの写真を大事に持ってるんだろう」凌太は不可解そうに呟いた。

トントン、トントン……。

外から、重くも軽くもない足音が聞こえてきた。

凌太は警戒してドアの方を見つめる。「まずい、誰か来た。ひとまず隠れよう」

気取られないよう、凌太はまず優くんを元の場所に戻した。

この書斎は隣の部屋と繋がっている。凌太と由佳はドアを開け、素早くもう一つの部屋へと身を隠した。

部屋のドアが閉まった次の瞬間、書斎の大きな扉が開けられた。

高原賢治はネクタイを緩めながら書斎のデスクの前...

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