第76章 高原賢治が恩知らずだと思う

高原圭太は後頭部を掻きながら、すぐさま真剣な顔で考え込むような素振りを見せた。「その……兄貴は義姉さんに対して、まったくもって……」良くしすぎだ……!

(だめだ、言えない。本当に良心が咎める)

高原圭太は高原賢治をちらりと見て、姿勢を変えた。「ええと……その……」

高原賢治は奥歯をギリッと噛み締めた。

高原圭太は唇の端を引きつらせる。「へへ……その……」

「…………」

半日経っても屁の一つもひり出せない弟の様子に、高原賢治は苛立ちを募らせる。まさに怒りを爆発させようとしたその時、高原圭太はついにその屁をひり出した。「兄貴、自分は義姉さんに対して良くしてると思う?」

なんと機転の...

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