第14章

蒼井沢言の身体が、ほんのわずか強張る。けれど、彼は彼女を突き放さなかった。

唇に落ちてきたのは、キスと呼ぶにはあまりに不器用な衝動だった。小動物が必死に噛みつくみたいな、なりふり構わぬ乱暴さと、堪えきれない悔しさが混ざっている。

温かな薄い唇がぶつけられて、じんと痛む。

息の合間に、彼女の匂いがはっきり届いた。ビールとフルーツジュース、それから彼女自身の体温の匂い。

「新谷音羽」

ようやく間ができた瞬間、蒼井沢言は彼女が息継ぎをする隙を縫って、少しだけ顔を逸らす。声は普段より低く、掠れていた。

「酔ってる」

片手で彼女の肩をしっかり支え、距離を取らせようとする。抑えた動きなのに...

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