第140章

彼女は立ち上がった。唇が何度もかすかに動くのに、言葉が一つも出てこない。

白川誠彦が新しい書類袋を差し出してきた。声はひどくかすれている。

「結果が……出た」

蒼井沢言はそれを受け取ったが、開けない。黙ったまま、二人を見つめた。

「植田瑠璃さんに……あなたに……私たちは取り返しのつかないことをした」

白川秀恵はとうとう堪えきれず、両手で顔を覆った。指の隙間から、押し殺した嗚咽が漏れる。遅すぎた悔恨が、彼女の身体を崩れさせそうだった。

白川誠彦がふらつく妻を支える。濁った老いた瞳にも、涙が滲んでいる。

彼は新谷音羽の顔――植田瑠璃に酷似したその面影を見つめ、苦しげに目を閉じた。

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