第15章

彼の声はどこまでも事務的で、昨夜の出来事など取るに足らない事故だった、とでも言いたげだった。

けれど新谷音羽は、昨夜の醜態を思い出すだけで頬がひりつく。

スプーンを握り、粥をちびちび口に運ぶ。視線はどうしても上げられず、彼の胸元――二つ目のボタンより上を見ないようにしていた。

「昨夜の……」

ようやく覚悟を決める。声は蚊の鳴くように細い。

「すみません。ご迷惑をおかけしました」

蒼井沢言はふっと目を上げると箸を置き、ナプキンで口元を拭った。動きは優雅で、余裕がある。

「迷惑とは?」

「わ、私……飲みすぎて、吐いて……」

頬がまた勝手に熱くなる。

「それに……変なことも言っ...

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