第29章

「唐澤心美……」

声は掠れて、ほとんど聞き取れない。

「きゅ……救急、呼んで……」

言い終えるより先に、視界がすとんと落ちた。

新谷音羽は、そのまま意識を手放した。

どれくらい経ったのか。

頬をぺち、ぺちと叩かれる感触がして、耳元で切羽詰まった声がする。

「音羽、音羽……起きて!」

重いまぶたをこじ開けると、目に飛び込んできたのは眩しすぎる白。天井の灯りが滲んでいる。

「起きた! 起きたよ!」

唐澤心美の声は泣き声まじりだった。

音羽が首を動かす。

ベッドサイドには目を赤くした唐澤心美。反対側には蒼井沢言が座っていて、顔色の悪さが恐ろしいほどだった。

「……具合は」...

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