第48章

夕暮れどき。西日の名残が、床まで届く大きな窓からリビングへ斜めに差し込んでいた。

蒼井沢言が会社の用事を片づけて帰宅し、ドアを押し開けた瞬間――いつもならがらんとして冷えた玄関ではなく、リビングに細い背中が見えた。

新谷音羽はゆったりした部屋着姿。艶のある黒髪をヘアゴムでざっくりと後ろにまとめ、白く長い首筋がのぞいている。ローテーブルのそばにしゃがみ込み、床に散らばったデザイン画を一枚ずつ拾い上げ、種類ごとに分けて整えていた。

西日が彼女の輪郭にやわらかな金の縁取りを落とす。静かで、綺麗で――この家で沢言が一度も感じたことのない、生活の匂いがそこにあった。

気づけば、足音を殺していた...

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