第55章

星野結月は、彼の身につけている部屋着に目が止まった。見慣れないそれが、胸の奥を針でちくりと刺す。

「沢言、昨夜は病院まで送ってくれてありがとう。……やっぱり、あなたは私のこと、心配してくれてるんでしょう?」

昨夜、蒼井沢言が自分で病院まで連れて行ってくれたのだと信じていた。絶望の底で、かすかな光を見つけた気がしたのに。

蒼井沢言の眼差しはいっそう冷えた。

「病院に送ったのは俺の秘書だ。もう大丈夫なら、帰ってくれ」

容赦なく幻想をへし折る声音。寄せつけない距離だけが、そこにあった。

星野結月の顔から血の気が引く。信じられないとでも言うように見上げ、食い下がった。

「そんなに急いで...

ログインして続きを読む